[みんぞくふ・ミンゾクフ・minzokuhu]
意味
その民族集団の文化と歴史が結集された唯一無二の宝、それが民族布である。
筆者が想定する「真正の民族布」の定義をここに記す。
1.織り上げるための糸や染色の素材となる動植物はその土地で収穫・捕獲されるもの、徒歩・乗用家畜・船舶(人力及び風力)による交易によって継続的に得ることが可能なものとする。
2.機織・染色・縫製等製造工程に用いられる道具は人力によって動くものとする。蒸気機関・電力を動力としたものは認めない。
3.その布を日常的に纏う人間が存在していること。
現在、「民族布」として流通しているものの殆どは「大量生産品」であり筆者が定義する「真正の民族布」とは異なる。
「真正」の工程で布を作り上げるとすると、一般庶民の手にはとうてい届かない価格となってしまう。より多くの人々の日常に使われ続けて後世に伝えられるためには、原材料の輸入、機械化等を受け入れて安価に供給せざるを得ないだろう。
「真正の民族布」を実現しうる環境(素材の調達が可能な自然環境の保全、伝統技術の継承者を絶やさぬための保護)を維持出来ているかどうかに、その国の文化的成熟度が現れる。
本当に豊かな国家は、最新の科学の恩恵を迅速に国民に提供しつつも、科学文明以前の在り様についても粗末にすることなく粛々と守り伝えるものだ。
この辞典は随時更新されます。
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