人活辞典

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プラタナス襲撃型ガードレール

【ぷらたなすしゅうげきがたがーどれーる・プラタナスシュウゲキガタガードレール・puratanasusyugekigataga-dore-ru】

意味

有史以来、ガードレールは近接する街路樹のプラタナスにより一方的に侵略、捕食される歴史を繰り返してきた。

22世紀初頭、タウゲンラントにおける生物工学の権威、オハ=マカーカソ・グレイビーはコモン種のホワイトガードレールに防衛的攻撃力を付与することに成功した。

初期の改良型ホワイトガードレールは、過剰な防衛本能からプラタナスのみならず通行人や車道を低速走行している軽トラックまで捕食してしまうという致命的欠点があった。幾ばくかの犠牲の末、グレイビー博士はホワイトガードレールの過剰な防衛本能を適正化することに成功。この適正化された種は「オフホワイトガードレール」と名付けられた。

世界連邦ガードレール学会では、オフホワイトガードレールを基本種として改良された一群を「プラタナス襲撃型ガードレール」と呼び、従来の防衛攻撃力を有しないガードレールとは別の科として分類している。

 

プラタナス襲撃型ガードレールの再生能力

プラタナス襲撃型ガードレールは、接地しているプラタナスから栄養素を吸収、事故などで破損した自身の本体を修復するためのエネルギー源とすることができる。一度設置してしまえばほぼメンテナンスフリーで、諸国の国土交通関連機関は大幅な経緯削減が期待できる。

エネルギー源となる樹木は侵略性を有するプラタナスが最適だが、その他の樹木や草でもガードレールとの接地面さえあればある程度の栄養補給は可能である。

 

プラタナス襲撃型ガードレールの自主防衛能力

このガードレールは、明確な悪意をもってガードレールの破壊を目論む者達から身を守るための能力をもっている。等間隔に地中に埋められている支柱は自在に動かすことが可能であり、緊急時には地上に噴出して外敵を攻撃することができる。支柱の直撃で無力化した敵をビーム部で巻き取り捕食することでプラタナスからは得られない動物性たんぱく質を補っている。

 

プラタナス襲撃型ガードレールの有効利用による犯罪者撲滅

タウゲンラント本国ではプラタナス襲撃型ガードレールが犯罪者撲滅のために利用されている。同国で使用されているのは「犯罪者感知センサー」を搭載したガードレールで、通行する車両の運転者が「煽り運転常習者」「危険運転の前科を持つ高齢ドライバー」の場合は瞬時に察知する。

追い込み漁の要領で当該危険車両を1キロ毎に設置されている「処刑会場(退避場所)」に穏便に誘導、他の車や歩行者から隔離する。

支柱噴出攻撃で運転席の犯罪者をピンポイントで攻撃。車両を完全に停止させ、ビーム部を伸ばして車内から犯罪者を摘出。犯罪者はそのままプラタナス襲撃型ガードレール(改)の栄養食として処分され、こうして、犯罪者予備軍を野放しにしていたら発生したかもしれない不幸な交通事故は未然に防止される。